Thursday, July 21, 2011

憂楽帳:窮地のメディア王


憂楽帳:窮地のメディア王
Jul 21st 2011, 06:21
多数の英米有力紙やテレビ局、映画会社を所有する「世界のメディア王」、ルパート・マードック米ニューズ・コーポレーション会長(80)が窮地に立たされている。傘下の英大衆紙がスクープ記事のために誘拐・殺害された少女の携帯電話の盗聴を行うなどしていたことが明らかになったからだ。
駆け出し記者だった96年、マードック氏にインタビューした。日本の衛星放送市場参入を狙い、テレビ朝日株を大量に取得し、「黒船襲来」と騒がれた時だ。「我々は世界規模の番組調達力や営業力、映像技術などあらゆる分野で優位だ」と自信満々の同氏は「ビジネスチャンス」と連呼。メディアをもうけの道具と割り切るかのような考え方に強い違和感を感じた。
ニューズ社はその後、有名人の暴露記事や、時の政権に擦り寄る「売れる報道」で収益を伸ばし、米名門経済紙ウォールストリート・ジャーナルも手中に収めた。だが、得意のスキャンダル報道で窮地に陥った今の同氏を見て、もうけ一辺倒のメディアは成り立たないと改めて感じる。【竹川正記】

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