
被災地に送れない本を持つ遠野文化研究センターの小笠原晋事務局長。蛍光ペンで線が引かれたり「店内用 見本」と書かれたシールが貼られたりしている=岩手県遠野市で、金子淳撮影
東日本大震災では、岩手県沿岸部の陸前高田市など5市町村で、公立図書館や関連施設が津波の被害を受け、県の推計で約20万冊の蔵書が流失した。この事態を受け、内陸部にある遠野市の遠野文化研究センターが被災した図書館に本を送るための活動を始め、これまでに全国から15万冊以上が集まった。被災した図書館側の受け入れ態勢が整えば、秋ごろから届ける予定だ。
県立図書館によると、沿岸部の公立図書館のうち、陸前高田市、大槌町、野田村の計3施設が壊滅。大船渡市と山田町では、図書館施設自体は被害がなかったものの、蔵書を保管していた倉庫などが被害を受けた。
同センターは4月、遠野市が市内の文化の調査研究などを行うため設立した。震災を受け、急きょ被災地支援を活動の柱に掲げ、ホームページなどで本の提供を呼び掛けた。届いた本の分類、保管にはボランティアがあたる。センターの小笠原晋事務局長は「沿岸部との交流で、遠野の文化は栄えてきた。そうした縁もあって支援を考えた」と説明する。
ただ、届いた本のうち2割近くは汚れや書き込みで活用できない状態。また、同じ本が多数寄せられる例もあり、仮設住宅などで無料配布しても、もらい手がない場合は資源ゴミに回すしかないという。小笠原さんは「善意は無駄にしたくない。送っていいか迷ったら問い合わせてほしい」と話している。
本の送付先は遠野市東舘町3の9。問い合わせは同センター電話0198・62・2340へ。【金子淳】
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