放射性物質を吸収するといわれるヒマワリを復興のシンボルにしようと、福島県内の若手経営者らが「福島ひまわり里親プロジェクト」に取り組んでいる。福島から送った種を全国各地に植え、実った種を来年、福島でまいて土壌改良につなげる試み。東京電力福島第1原発の事故で苦しむ福島県民に、全国との「絆」を感じてもらうことも目的だ。全都道府県に送られた種は1万3000カ所以上で成長し、大きな花を咲かせている。
プロジェクトは、放射線量の独自測定などに取り組む福島県内の人材育成会社や飲食店の若手経営者ら10人が中心となって3月にスタート。4月下旬からホームページなどで里親希望を募ったところ、応募が殺到し、福島を除く全46都道府県に種を発送した。
種の袋詰めなどの作業は、二本松市の知的障害者の作業所「和(なごみ)」に依頼し、雇用創出にもつなげた。作業所の渡辺聖子所長は「壮大なプロジェクトに参加できることにやりがいを感じる」と話す。各地で収穫された種は郵送でも送り返せるが、直接持参してもらうことで福島県民との交流が生まれることにも期待している。来夏に種をまく場所は、県内から希望者を募っている。
神奈川県伊勢原市の美容室経営、円城寺興志さん(46)は、店の客約50人にもプロジェクトへの参加を呼びかけた。店の前に植えたヒマワリ約30本は1メートルほどに成長した。「自分たちにも何かできないかと考えていたときにプロジェクトの話を聞き、これだと思った。毎日ヒマワリを見て福島のことを思いながら、自分たちも頑張らなきゃと元気をもらっている」と話す。種を収穫した後は直接福島県を訪れ、被災した人たちの話を聞きたいという。
プロジェクト代表の半田真仁さん(33)には、各地から次々と開花の連絡が届いている。京都府宇治市の鍼灸(しんきゅう)院経営、小嶋道範さん(37)が患者から借りている畑でも約2000本のヒマワリが満開になった。半田さんは「全国の人が、福島の現状を我がことのように思ってくれていてうれしい。福島と日本の希望の光にしていきたい」と話す。
夢は、全国の里親から届いたヒマワリで「巨大迷路」を造り、今は「屋外遊び」を控えがちな福島の子供たちに楽しんでもらうことだ。同プロジェクトの詳細は、ホームページ(http://www.sunflower-fukushima.com/)かプロジェクト事務局(080・1690・0711)へ。【松本惇】


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