Tuesday, July 19, 2011

福島第1原発:住民「安全誰が守るのか」 工程表に不安


福島第1原発:住民「安全誰が守るのか」 工程表に不安
Jul 19th 2011, 11:58
安全は誰が守ってくれるのか--。政府は19日夜発表した東京電力福島第1原発事故被災者を支援する新たな工程表に関し、緊急時避難準備区域については、7月末から8月に安全性を確認したうえで解除を判断するとした。ふるさとに戻れる日はいつなのか。雇用は、生活は再建できるのか。そして何よりも「安全」は確保されるのか。避難生活が続く住民たちの不安は収まっていない。
全域が緊急時避難準備区域に含まれる福島県広野町。町は解除へ向け、土壌や飲料水のモニタリング、除染の実施など4項目を国に要望していた。町幹部は「政府は一方的に解除について語るが、事務レベルでの説明がない。誰もが安全、安心に暮らせる町に戻すのが先だ」と不信感を口にする。同区域は「住んでいても良い」が、事故前の人口約5400人のうち、現住者は約300人。避難者の多くは役場機能を置く隣の同県いわき市で暮らし、約1500人は県外に避難した。
避難している町民の思いは複雑だ。いわき市のホテルハワイアンズに避難している住民約300人の代表、鈴木正範さん(66)は「故郷から目と鼻の先にいて、誰もがすぐにでも帰りたい。でも安全が確認されなければ帰ることはできない。政府が言う『安全』をどこまで信用していいのか」とこぼす。
町内のインフラは復旧が進み、6月末までに8割の世帯で上下水道が使えるようになった。だが店の多くは閉店したままだ。日用品を扱う店主の一人は「病院やゴミ処理など、暮らすための問題は山積し、ほとんどの人はすぐに帰ってこられない。それが現実だ」。
教育再生への道のりも遠い。町内に1校ずつの小中学校は、2学期からいわき市で再開する準備が進む。町教委幹部は「学校施設の除染など安全・安心の確保は時間が必要」と語る。同居する2世帯7人で避難した同町の太田忠義さん(67)は、子どもの将来を心配した娘夫婦が近く、いわき市のアパートに移り住むという。「私はすぐにも帰りたいが……。孫はじいちゃん、ばあちゃんと住みたいと言ってくれる。でも仕方がない。家族がばらばらになるのはつらい」と肩を落とした。【井上大作】

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